歩里人珈琲について

コンセプト(理念・ビジョン)

 
歩里人珈琲(ポリトコーヒー)は和歌山のかつらぎ町にある、とても小さなコーヒー屋です。
 
でもポリトで買えるコーヒー豆のほとんどは世界でもほんの一握りと言える程の貴重な生豆を使って、手網焙煎というアナログな手法によって仕上げられます。
 
『世界最先端の生豆を、最も時代遅れな手法で焼く』
 
常識的に考えれば矛盾する考えのように感じるかもしれませんが、決してそうではありません。
 
そこには、歩里人珈琲の理念である
 
『 誰かの一歩を応援する 』
『 徹底した創意工夫 』
 
という想いが込められています。
 
 
スペシャルティコーヒーは、本当に面白い飲み物です。
特にトップスペシャルティコーヒーと呼ばれるコーヒーは、飲んだ人に驚きと発見を与えてくれます。
 
昔に比べて圧倒的に美味しくなったコンビニのコーヒーや缶コーヒーであっても辿り着けない別次元の味わい。
ワインやウィスキーのように何十年と熟成させなくても、毎年様々な特徴を持ち、育て方や焼き方で味わいが千変万化する潜在力。
 
そんなコーヒーが、何気ない毎日を過ごしていたところに突然現れる衝撃。
「それに伴う感動的な経験と発見のお手伝いをしたい!」というのが、歩里人珈琲のコンセプトのひとつです。
 
普段コーヒーを飲み慣れていない方でも、味わいの好き嫌いはあるかもしれませんが、その違いだけははっきりと掴んで頂けます。
 
コーヒーも農作物です。
育てる国、育てる人、育てられる場所、育てられる品種がひとつでも違えば、香りも味わいも全て変わってきます。
 
和歌山の住人なら大体の方が分かるような、当たり前の表現で例えてみますと・・・
「温州みかんとネーブル、デコポン、はっさく」の風味の違いくらい。
「あそこの農家さんは皮が柔らかくて甘い、こっちの農家さんのは酸が効いてて味が濃い」といったくらい。
コーヒーも同じように、簡単に、当たり前に味わいが違います。
 
コーヒーも、農作物なんです。
その微かな、貴重な違いを丁寧に捉え、焼き、そして伝えることでコーヒーは完成します。
 
 
一方で、歩里人珈琲が採用している手網焙煎では、このトップスペシャルティコーヒー(スコア86点以上の生豆)を焼くことは常識的に考えても困難だと言われてきました。
 
しかし、この手網焙煎という手法において、それを可能にし、最新の焙煎機にも勝るとも劣らない仕上がりを可能にする為に、様々な創意工夫を凝らしながら長い時間を費やしてきました。
 
そして『 焙煎 』という火や熱を当てるだけの、この簡単に見えて極めて困難の多い作業を、2011年からずっと繰り返してきた結果、手網焙煎であれば簡単に出来てしまうことも数多くあるということが分かってきました。
 
焙煎機では構造的に難しいことであっても、手網焙煎の構造であれば容易にできるかもしれない。
多くの焙煎人の最初の一歩を支えてきた「手網焙煎の可能性」を探求したい。
そこから見つかる新しいアイデアが、世界の中の小さな島国の、和歌山という地方の、かつらぎという小さな町から、何か生み出し、何かを変えるかもしれない。
 
コーヒーというグローバルな存在が偶然流れ着いた和歌山・かつらぎというローカルから、グローバルを揺るがす可能性を全力の創意工夫を以って追求したい。
 
歩里人珈琲は、そんなことを考えているお店だったりします。
 
 
コーヒーが初めての方でも、そうでない方でも、
 
『コーヒーには、こんな違いがあるのか!』
 
と感じていただける、その気付きの一歩を精一杯お手伝い致します。
踏み込めば踏み込むほど魅惑の尽きない素晴らしい世界へご案内します。
 
そして飲み続けて頂ければ、我々の生きている世界がなんと儚くも、多様性に満ち、可能性に満ち溢れた場所であるかを感じ取ってもらえるはずです。